2018.10.03 Wednesday 16:53

どこを切り取っても美しく

映画「散り椿」を観てまいりました。

スタッフで参加していたのに、試写室ではなく一般のお客様とご一緒に劇場で観るというのは稀なことです。

映画が始まる前に、面白そうな予告編が強いリズムの音楽と共に続々と映し出されますね。
でも「散り椿」には、そう言った現代性もエンターテインメント性も薄いのだろうなあ、そのギャップ感が、この映画らしさでもあるけれど・・と思っているうちに映画は始まりました。

個人的に私が好きだったシーンをいくつか。

まず、出始めの雪のシーン。
主人公である瓜生新兵衛(うりゅうしんべい・《岡田准一》)が手にしていたのは、夕餉のための「お豆腐」だったとは、直ぐには分りにくいくらい雪が降っていました。ここだけは繰り返して観たい場面でした。

和紙問屋の田中屋惣兵衛(石橋蓮司)が賊に襲われたことの詮議をしている城代家老(奥田瑛二)を、榊原采女(うねめ)役・西島秀俊さんが横目で見る時の一瞬の表情。映画でこの俳優を観るのは私は初めてです。

幼い頃から同じ道場で腕を磨き、四天王と言われていたという四人組の面々の、個性が出ている配役。その中で自決した坂下の弟・藤吾が拉致される場面と、新兵衛が救い出しに行く時に寺の山門をくぐる時の、背後の紅葉の見事さ。自然の醸し出す息を飲むような美しさと、人の動きの配置。

線香の包みを手にした富司純子さんと黒木華さんが、しずしずと縁側を歩く時の姿と白い足袋。日本女性の鑑のような光景を垣間見る場面でした。富司純子さんの着こなしも素晴らしい。

そして極めつけは、新兵衛が身を寄せた道場で、朝日の空気をまとって黙々と居合い稽古をしているところ。ここにはKAKOさんのテーマ曲が、弦楽四重奏とチェロの独奏とで流れます。岡田准一さんの刀さばきも姿も表情も最高点です。
このシーンだけ、もっと長くても良いのになあ、と思ったのは私だけか。
実際に、このシーンは倍以上撮影したそうですが、映画全体の長さから短くせざるを得なかったようです。

モントリオール世界映画祭で、「絵画(のような場面)の連続だった」という受賞理由で、審査員特別賞を頂いたのも頷けるというものです。日本人が忘れかけている美意識を持ち合わせた、外国人審査員が居るということでしょう。

そんなことは別として、皆さん是非ご自身で確認してください。

木村大作さんは今回は監督でしたが、キャメラマンとしては黒澤明監督が大事に思っていた、超一級の人だと納得する映画でした。

監督、俳優、プロデューサー、参加した人々すべての手書きのクレジットロールもいいですね!勿論KAKOさんも自筆のサインです。
エンドロールでテーマ曲の旋律がピアノで出てきますが、映画の中ではメロディーラインをほとんどチェロが演奏していたので、締めくくりにピアノの音色が聞えたのは良かったのでは?と思いました。
チェロ独奏は植木昭雄さんです。

「散り椿」サウンドトラックはエイベックス・クラシックスから発売中。映画では使用されなかった十七絃箏の現代曲風のも収録されているのですから、ファンには必聴盤です!(それは9曲目です)



今すぐ Amason でも試聴出来ますよ!

劇場では映画のパンフレットも販売していて、KAKOさんのコメントも掲載されています。

2018/10/03








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2018.09.06 Thursday 17:13

大阪で「映像の世紀コンサート」

今日は台風の後の大阪に来ています。甚大な被害が出た大阪の街は、倒木も綺麗に掃除されて見当たりませんが、信号機が下に向いていたり、アッチの方向へと曲がっていて、風速50メートルとも言われた威力が怖いくらい想像出来ます。

明日は、「映像の世紀コンサート」大阪公演のリハーサルなので、重い楽譜を持って軽井沢から約5時間の新幹線移動でした。

駅には主催側のスタッフの女性が待っていてくれて、一緒にタクシーでABCラジオ局へ。
コンサートのPR 取材です。

「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」で、来週オンエアされるそうです。
三代澤さんの巧みな話術で、17日のフェスティバルホールへ駆けつけたくなるような会話でした。
収録後の一枚。




KAKOさん語録として、一つメモしてきました。

スクリーンの映像とオーケストラとピアノによる音楽にも言葉はありませんが、そこへ詩的なナレーションが加わり、会場の人々の感受性に訴えて、次のパートへの扉を開いてくれるんです。

2018/09/06




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2018.08.19 Sunday 09:31

ある日の音楽から

何気なく検索していたパソコンから、指先のタッチの違いで思いがけなく音楽が流れてくる事、ありますね。
今日は、ピアノ・トリオの曲で“Golden Earrings” 「ゴールデン・イヤリングス」。
KAKOさんに聞えていたようで、「この頃のジャズは健康的だなあ・・、だんだんフリーに芸術志向的にと変化していく・・」とつぶやいていました。

ところで、このピアニストの名前は?と言われて、直ぐに出てこなかったため、改めて検索してみたところ、ジャズ名盤紹介サイトJAZZCD.JPなるものに出会いました。

はい、ピアニストの名前はRay Rryant レイ・ブライアントです。

https://jazzcd.jp/recommend/negroid-piano-trio/ray_bryant_trio

ジャケット写真のくわえ煙草の煙は見えないけれど、想い出の記憶がけむって出てくるような、バラード集の1曲目でした。


さて、映画「散り椿」の公開まで約1ヶ月。
公式サイトの予告編ご覧になりましたか?
音楽を担当した側から観ても、映像に合わせた音楽の扱い方、音楽の切り貼りのテクニックもgood!なんですよ。


KAKOさんは、9月17日の大阪・フェスティバルホール「映像の世紀コンサート」の準備中ですが、涼しい軽井沢でピアノに向かっています。

2018/08/19
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2018.08.02 Thursday 21:14

秋のコンサート

すでにホームページ上に公開されていますが、
夏以降のコンサート情報です。
「映像の世紀コンサート」は、2016年、17年と2年続けて東京で開催され、大反響を呼んだ公演です。大迫力の映像と、迫真のオーケストラをライブで体験出来る機会を、どうぞお見逃しなく。
今年の八ヶ岳高原音楽堂は秋になりました。内省的な秋の風情も一緒にお楽しみください。

■9月17日(月・祝日)大阪・フェスティバルホール
「映像の世紀コンサート」
https://takashikako.com/concert20180917/index.html

■11月10日(土)八ヶ岳高原音楽堂
「加古隆クァルテット」
http://www.yatsugatake.co.jp/event/concert/2018/1110/

2018/08/02
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2018.06.05 Tuesday 21:30

美しい舞踏手

山海塾公演に、世田谷パブリックシアターへ行って参りました。

今年は、主宰の天児牛大(あまがつ うしお)さんが術後間もないことから、舞踏手ではなく演出家でしたし、尚且つ、重鎮の「蝉丸さん」も演出助手にまわられての舞台ですので、若手の方々が出演していました。

金柑少年 リ・クリエーション(1978年が初演という作品)

KAKOさんも私も、10数年前に1回、勿論当時は天児さんが主役で観ています。
登場する少年と時代性からは、独白録のような側面も窺わせ、抒情性は少なく強烈なインパクトを与えて終ります。

近くのお席に山本寛斎さんや楠田枝里子さんのお顔があり、フランソワーズ・モレシャンさんも常連のようです。

ロビーでは、美しい姿の舞踏手・天児牛大さんの古いポスターが貼られていたり。

2010年「二つの流れーから・み」


2012年「歴史以前の記憶ーうむすな」


詩的なタイトルも、山海塾のセンスを物語っていますね。
KAKOさんが山海塾の作品に音楽として参加したのが1995年のことですので、今回のように古い作品には関わっていません。

「天児さんが居ない舞台、どうでしたか?」
私がKAKOさんに問うてみたら、こういう言葉が返ってきました。

「山海塾は背中で踊っている」

うーん、成る程。
舞台をご覧になったことがある方々にはハッとする名言では!?

2018/06/05
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2018.03.20 Tuesday 20:11

曲と歌詞の出会い

先日のサントリーホールへ歌手の石川さゆりさんがいらしていて、お仕事の途中か着物姿でしたので、目撃された方も多かったようです。

石川さんが昨年発表されたアルバムは、デビュー45周年記念で、その最終曲として、KAKOさんの新曲に歌詞がついた「祈りたい」(山上路夫作詞)が収録されています。
「加古さんの曲を入れたい」というラブコールから始まった1曲。



思い返せば、お二人の初めての出会いは、山本寛斎さんプロデュースのスーパーショー『アボルダージュ〜接舷攻撃〜』で、2004年のことです。
寛斎さん自身の半生も下地にあり、新撰組の土方歳三に重ね合わせたというストーリー。幕末を生き抜いた男達・女達の姿を、武道館を縦横無尽に使い切って表現した一大スペクタル。

いくつかの音楽が出来上がってゆく中で、KAKOさんに寛斎さんから電話がありました。「この曲に詞を付けて石川さゆりに歌ってもらいます!」と、予期せぬ提案の出た曲があったのです。そしてドンドン話しは進んでいき、ある日のこと、作詞家の阿木燿子さんと石川さゆりさんが録音スタジオに現れたのでした。KAKOさんは、演歌に縁が無いので「津軽海峡冬景色」も知らない人。その日初めて素晴らしい歌声を聴いたのです。

劇中に秋田の「西馬音内の盆踊(にしもないのぼんおどり)」がありましたが、そこにKAKOさんの音楽と石川さゆりさんの歌が加わります。踊り手の、一枚として同じ物が無いという独特の着物、逝った者への哀しげで優美な踊り。幻想的なシーンに魅了され、毎年夏に行われるというその盆踊りを、是非現地で見たいと思ったものでした。『アボルダージュ〜接舷攻撃〜』のyou tubeでも垣間見ることが出来ます。(BGMはメインテーマ曲が流れています)
https://www.youtube.com/watch?v=gpx6VL-49L8

武道館での、1回限りの”スーパー”なライブのお話しでした。

「アボルダージュ」のテーマ曲など2曲は、CD「熊野古道」に入っています。

2018/03/20
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2018.03.08 Thursday 20:10

2018ツアーを終えて

コンサート2018
今回のプログラムの表紙です。



函館と札幌のコンサートでは、猛威を振るった風雪で飛行機や電車の不安定な運行状況に左右されました。

特に札幌でのハプニング!!

「事情があって」プログラムの第1部の最初に用意していた「映画音楽セレクション パート1」を、そのあとに控えていた「映像の世紀 組曲」と入れ替えたのです。

この組曲では「神のパッサカリア」「愛と憎しみの果てに」が予定されていましたが、それを変更して、代替えの曲「睡蓮のアトリエ」が選ばれました。

こういう時にジャズのような即興演奏なら問題なく対処できますが、譜面のある曲ではそうもいきません。
急遽その部分だけ変更しましたので、KAKOさんは、しばらく弾いていない「睡蓮のアトリエ」を楽屋で10分ほど猛練習。

他の会場で既にコンサートを聴いている追っかけファンの方々は、きっと急なプログラム変更に驚いたことでしょう。
でも、今回のコンサートで主にアピールしていたのは「映画音楽セレクション」ですから、その面での変更はなく、お客様も問題なく楽しんでいただけて、心底ホッとしたものです。

どんな事情があったのか?

まあ、言わぬが花、ということで・・・。

札幌公演に駆けつけてくださった皆さま、大雪の日にご来場下さって本当に有難うございました!


さて、2月11日の大阪からスタートしたツアーも、3月4日の東京・サントリーホールで締めくくり。

「拍手の質が良かった」という、面白い感想を話して下さった人がいました。あたたかく、じっくりと聴いているお客様の、クオリティの高さの表れではないかと思ったそうです。サントリーホールへいらした方々にとっては、うれしい感想ですね。

「石川さゆり」さんのお花も、ご本人のお姿もありましたが・・・どうしてですか?という人も。
KAKOさんと結びつかない・・・と言われました。
えーっと、KAKOさんの曲を歌ってくださっている・・・という理由はあるのですが、ここのアトリエ通信に書いていなかったですね。反省しています!

それは次回のお楽しみに!

2018/03/08
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2018.02.12 Monday 11:22

コンサート2018

今年のコンサートツアーが始まりました!
今日は大阪・いずみホール。

昨夜は土砂降りの雨の中を新大阪駅に着きましたが、今日はなんときれいに晴れています。でも会場の外はビル風が吹く場所で、開場と同時に入っていらしたお客様と握手したら、あまりに凍える冷たい手で思わず握手し直したり。

KAKOさんはアンコールの時に、第1部も2部もカルテットでやるコンサートは初めてなんです、と言っていました。今までは第1部ピアノソロ、第2部でカルテットという事はありましたが…そういう初体験を、故郷でもある大阪でやれて良かったという意味のことも付け加えると、その瞬間、応援のひと声がかかったのは、さすが大阪、嬉しいですね。

東京でのリハーサルの時のことを思い出します。映画「阿弥陀堂だより」のテーマ曲「風のワルツ」。これは3拍子で楽しげなのではありますが。
演奏に微妙な雰囲気がありそうだと思って聴いていたところ、何と、四季・春夏秋冬という映画の季節を音楽でも表現していたのだそうです。カルテットのメンバーに楽譜の中の番号を示しながら、出だしは春の霞の様に、次は初夏の光を感じて、その次は秋の色合い、そして最後に来るのが冬の訪れ、などと独り言のように伝えていました。

初日が無事に大盛況で終わり、KAKOさんもメンバーもホッとして、明日の名古屋に向かっています。

2018/02/11

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2017.12.24 Sunday 10:50

近況の贈り物

今日はクリスマス・イヴ・・・。
KAKOさんの近況を掲載して、皆さまへのプレゼントにしたいと思います。

先週名古屋と大阪に行き、どちらの町でも、来年のコンサートのための取材が主なスケジュールでした。
合同記者会見に臨んで様々な質問や写真撮影に応えたり、ラジオの収録に行ったりと非常にハードな2日間でしたが、KAKOさんの実年齢を知ると皆さんびっくりされていたのが印象的です。
それだけ元気そうに見えるのでしょうか。

合同記者会見の席で。



チラシはこちら。


裏面の「クァルテット・プロフィール」は、ホームページのコンサート詳細ページで是非ご一読ください。クァルテットに込めたKAKOさんの意気込みがよく分かりますよ。

抜粋しますと・・・・

──最少の人数でありながら最大限の音楽表現を可能とし、
4人の奏者がそれぞれの楽器の個性を生かした
ソリストとしての役割を果たしつつ、
同時にアンサンブルとして最高度の一体感を成就する──

独自な発想により考え出されたステージ上の4人の配置は、古典的な楽器編成に、新しい響きと可能性をもたらしました。
・・・・・


2月11日の大阪から3月4日の東京まで、会場で皆さまにお会いできるのをKAKOさんが一番楽しみにしています。

大阪で収録したABCラジオの有名な番組「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」のパーソナリティー三代澤さんは、「映像の世紀」の大ファンでいらっしゃり、あの曲「パリは燃えているか」を口ずさみながら、1995年に初めてテレビから流れたメロディーの、その4つの音だけで心にグサッと来た、と豪語していました。

あと記者の方々が全員と言っていいほど気にしていたのは、映画音楽セレクションの中の「散り椿」です。
来年9月に映画公開前に初演するテーマ曲は、どんな曲想なのか、曲が出来上がるまでの秘話や撮影現場へ行った際のエピソードとか、質問攻めでした。
KAKOさんの答えの中に「佇まい(たたずまい)」という言葉が出ていましたが、やはり素敵な日本語の一つですね。

必ず聞かれる「来年の抱負」には、特にこうしようと言うことは無いけれど、とにかく「エネルギーを燃やし、美しい演奏をすること」、
だそうです。

2017/12/24
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2017.11.15 Wednesday 16:07

辻井伸行さん、走り続けた10年



11月13日(月)に開催された「辻井伸行 デビュー 10周年記念 特別コンサート」は、こういう角度からステージを見る場所でした。指は全く見えませんが、顔の表情はよく見えました。ステージに飾られた花の赤い色がピアノに写って華やかな感じです。


これは辻井さんの言葉。


プログラムには、長島茂雄さん、三枝成彰さんの順でお祝いメッセージが掲載されはじめ、KAKOさんのコメントも収録されています。


第1部はピアノ・ソロで2部はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番でした。
同じステージで同時に聴いていると、前半のフランスに縁のあるショパンやラヴェルと、ロシアの大地の作曲家・ラフマニノフのロマンの質の違いを、今更ながら感じました。
オーケストラと共演するのを初めて拝見しましたが、その演奏ぶりは「凄い!」の一言しかありません。目が見えないということと、ピアノという楽器、この二つを神様から贈られた辻井伸行さんに、最後は総立ちの拍手が続いて・・・。

終演後の別会場でのパーティーで、KAKOさんとノブ君の握手。


2011年9月13日のブログに「奇跡の音色」という本のことを書きましたが、私が心の中で尊敬していた川上昌裕先生にもお目にかかれましたし、著者の神原一光さんもいらしていました。

この日は、何と第2部から天皇・皇后両陛下がご臨席されて、それもすぐお近くのお席にお座りだったのです。
そのお姿は静謐さとお優しさがにじみ出て、私は公の席でのお立場やご高齢になられるまでの道のりに思いを馳せ胸がつまってしまい、あやうく涙をこぼしそうになってしまいました。
そういう意味でも、”特別”なコンサートの日だったのです。

2017/11/15
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